ISO審査員募集

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審査員インタビュー

製造現場を知るからこそ、できる審査がある―大手飲料メーカーQAからFSSC 22000審査員へ

日本規格協会ソリューションズ株式会社 審査登録事業部

認証企画・支援チーム 課長 堀 智彦

画像の説明

堀さんのこれまでの経歴をお聞かせいただけますか?

私は今から5年ほど前まで、27年間にわたり大手飲料メーカーに勤務する「現場の人間」でした。その27年間では、ビール工場での醸造や品質保証、研究所での発酵技術開発、さらには小規模プラントの運営管理や知的財産まで、技術に関わる多岐にわたる分野を経験しました。中でも2005年から2012年にかけての品質保証業務は、現在の活動の原点となっています。

当時いらっしゃった組織ではISOマネジメントシステムの運用をしていたのですか?

当時はISO 9001を運用していましたが、事務局としての理解も今一つで、いかに「不適合」を受けずに審査をやり過ごすかに腐心していました。特に酒造メーカーには国税庁による厳しい査察文化があり、「検出事項ゼロが当然」というプレッシャーの中で、審査もその延長線上の「ノリ」で対応していた記憶があります。当時の正直な胸の内を明かせば、ISO規格に対しては「慣れ親しんでいる」というより、むしろ「面倒くさいもの」という感覚が強かったように思います。 一方で、現場には「品質ルールを遵守する」という意識がみっちりと叩き込まれていました。私自身、五感を研ぎ澄ませて異常を察知し、製品の出荷を未然に止めた経験が何度もあります。この「現場で培った五感と責任感」こそが、後に審査員として活動する際の大きな武器になるとは、当時は夢にも思っていませんでした。

なぜISO審査員になろうと考えたのでしょうか?
堀審査員

この業界に足を踏み入れたのは上司からの紹介という偶然がきっかけでしたが、自分のキャリアを振り返ったとき、「一つの組織の枠を超えて貢献したい」という想いが芽生えました。ビール製造で培った幅広い技術知見や、製品を世に送り出すまでのアセスメント能力は、他組織の品質管理を向上させるための糧になるのではないかと考えたのです。 前職で叩き込まれた「お客様本位、品質本位」というポリシーは、審査員という立場になっても変わりません。むしろ、一つの工場を守る立場から、食品業界全体の安全レベルを底上げする「伴走者」へと役割を広げた感覚です。

ISO審査員の活動を始めて、「ISO審査員」という職業や仕事の内容についてどのような印象を持たれましたか?

審査員として活動を始めて最も刺激を受けたのは、マネジメントシステムへの取り組み方が組織によって「千差万別」であるという事実です。規格という共通のものさしを使いながらも、そこには各組織の創意工夫が凝縮されています。 例えば、内部監査が単なる適合性確認にとどまらず、部門を超えて業務改善を指摘し合う「生きた仕組み」として機能している組織に出会うことがあります。こうした素晴らしい取り組みを目の当たりにすることは、私自身の知見を広げる貴重な機会となります。審査とは、相手を評価する場であると同時に、審査員自身が好事例から学び、自らの審査スキルをアップデートし続ける「一生勉強」の職業なのです。 そして何より、現場の苦労を知る私だからこそ、事業者の皆さんの言葉の裏にある「意図」や、現場の「痛み」を汲み取った対話ができる。これこそが、この仕事の最大の手応えだと感じています。

堀さんが考える「審査員の仕事」とはどのように捉えていらっしゃるのでしょうか?

審査員は英語で「auditor」と呼ばれますが、この接頭辞である「aud」は、「auditorium(講堂)」や「audience(聴衆)」、「audio(オーディオ)」などと同じく、「聞く」という意味を持っています。つまり、審査員とは本来「よく聞く人」なのです。審査員には「一方的に話す、厳しい人」というイメージがあるかもしれませんが、実際には、良い質問を投げかけ、組織の皆さんから大切な情報を聞き出す力が求められます。組織が大切にしている「話」をしっかりと受け止める。そのプロセスこそが、本質的な審査の第一歩だと考えています。

いま審査活動の中心となっている「FSSC 22000」との関わりについてお聞かせください。

FSSC 22000は、今や日本の食品メーカーが世界と渡り合うための「共通言語」です。認証登録することで日本の企業が持つ緻密で高い技術力を、国際規格という形で証明し、世界に通用する手助けをすることになります。これこそが審査員の担うべき重要な役割です。 審査員は「あら探しをする人」ではありません。事業者の努力を適正に評価し、日本の食の信頼性を担保する「最後の砦」として、食の安全というバトンを次世代へつなぐ使命を負っているのです。

堀審査員
これからISO審査員になろう、なりたいと考えていらっしゃる方に向けてコメントをお願いいたします。

もし今、「自分は現場しか知らないから、審査員なんておこがましい」と感じている方がいたら、それは大きな間違いだとお伝えしたいですね。その現場経験、その「痛み」の記憶こそが、事業者から最も信頼され、本質を射抜く審査を可能にする最強の資質だからです。 プロの審査員として、共に日本の産業の未来を支えていきませんか。皆さんの挑戦を、心よりお待ちしています。